2016年07月05日放送
今回のラジオきのこらむは出張版。岡山県を飛び出して、鹿児島県の離島、沖永良部島(おきのえらぶじま)のキクラゲ栽培についてご紹介します。
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沖永良部島は、奄美群島の南部…鹿児島市から南へ約540kmほど進んだ位置にあり、鹿児島県といっても沖縄県に近い、南国の温暖な気候の島です。今回は研究顧問の江口先生と、私を含めて弊社の社員3名で訪問しました。
岡山県から鹿児島県まで新幹線を使い、さらに鹿児島からプロペラ機で海を渡り、島に上陸しました。島までの交通手段となる飛行機は、朝・昼・晩に1便ずつ飛びますが、霧の影響で1週間ぐらい飛行機が飛べず、島に閉じ込められてしまうこともあるそうです。
沖永良部島ではサトウキビを使った製糖事業が盛んで、島には見渡す限りのサトウキビ畑が広がります。そして、この製糖工場に隣接して、キクラゲの栽培工場が設けられています。
沖永良部島でのキクラゲ栽培が始まったのは、40~50年前のことだそうです。キクラゲの見た目や形、色ツヤ等は、私たちの作っているキクラゲと変わりませんが、栽培方法は大きく異なります。
まず、沖永良部島のキクラゲの種菌は、5~6月頃にガジュマルなどの広葉樹の木の幹に生えてくる野生のキクラゲから採取し、人工栽培を行います。品種は私たちが育てているものと同じ「アラゲキクラゲ」という種類ですが、沖永良部島に自生している野生株ということで、また違った特性があります。
それから、沖永良部島のキクラゲ工場には、冷房や暖房等の本格的な空調設備がありません。ブロック塀の上に雨をしのぐための屋根が設けられているぐらいで、外気の影響を受けやすい作りになっています。 あくまで沖永良部島本来の自然の気候を活かした栽培が行われているのですね。
こちらのキクラゲ産業は、江口先生がゲストとして出演したNHKの「うまいッ!」という番組でも取り上げられたことがあります。興味のある方はぜひこちらをご覧ください。
≫「うまいッ!」番組ホームページはこちら。
キクラゲが島に自生していることから、島の人たちには昔からキクラゲを食べる習慣があります。
日本人ときのこのかかわりは深く、古くは縄文時代から食べられていると言われていますが、こちらの島でも何十年、何百年も昔から食べられてきたのだと思われます。
特に戦後、食べるものが少なかった時には、食感が良いキクラゲをお肉の代わりに食べて、親しまれていたこともあったようです。今も昔も、島民には欠かせない食材だったのですね。