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2016年01月23日放送

キノコ博士に聞く、キノコ成分の素晴らしさと健康~健康いきいきメモ(放送第10回)~

今回は、東京農業大学教授の江口文陽(えぐちふみお)先生を特別ゲストに迎えて、「キノコ(食)と健康」に関するお話をお伺いします。 

特別出演、東京農業大学教授の江口文陽先生

太田さん(レディオモモのパーソナリティー、以下「太田さん」): 新年一回目なんですが、素敵なゲストの方にお越し頂いております。東京農業大学教授の江口文陽(えぐちふみお)先生です。江口さん、よろしくお願います。

太田さん: なるほど。そこから30年間にわたってキノコのことについて勉強しようというのは、なかなかできないことだなと思います。

江口先生(東京農業大学教授の江口文陽先生、以下「江口先生」): よろしくお願いします。

太田さん: 江口先生は群馬県のお生まれで、東京農業大学の大学院修了後、2004年に高崎健康福祉大学の教授、そして2012年の4月より東京農業大学の教授を務められています。ご専門の領域は「森林保全」、「木材の有効活用」、そして「きのこの利用法の開発」です。様々な学会で理事や評議員を務められ、広い分野でご活躍中です。皆さんも「えのき氷」という言葉を一度は耳にされたことがあると思うのですが、先生はこの「えのき氷」の研究の第一人者としても知られています。
※えのき氷…マスコミで話題になったえのきを使ったダイエット方法。自宅でえのき氷を作ってチャレンジする人が続出した。

太田さん: 先生は大学では研究・教育に携わり、また、執筆やご講演活動のみならず、テレビ等にもご出演されています。また、キノコの魅力をその有効成分や特徴から、そして美味しさを活かす値段も手頃な料理レシピと共に、一般の方にわかりやすくご説明されています。

所長(きのこ研究所所長、以下「所長」): 東京から、わざわざこのためだけに来ていただいたんですよ。恐縮します。

太田さん: これまでも9回にわたって、所長にキノコと健康についてお話をしていただいたんですが、江口先生は、そもそもキノコの研究を始めてどれぐらいになるんでしょうか?

江口先生: そうですね。大学の時代からですから、もう30年。キノコ一筋で研究していますね。

太田さん: 30年キノコ一筋!そもそもなぜ、先生はキノコを研究しようと思われたんでしょうか?

江口先生: 高校二年生の時に父がガンになり、手術をしました。その後に医師から処方された薬が、当時の厚生省が認めたきのこから作られたお薬だったんです。
免疫を高める薬だったということから、キノコなんかが本当にガンや病気に効くのかな、という科学的な根拠を自分で確かめてみたくて、キノコの研究にのめり込んだということですね。

太田さん: なるほど。そこから30年間にわたってキノコのことについて勉強しようというのは、なかなかできないことだなと思います。

キノコは本当に体に良いの?

太田さん: 今日はせっかくの機会ですので、もうずばり聞きますが、なぜキノコは体にいいんでしょうか?

江口先生: そうですね。まず1つ目に、低カロリーであるということ。そして2つ目に、食物繊維が多いということです。

江口先生: 私たちが食物繊維を食べると、腸が非常によく運動するようになり、一緒に食べたものの栄養素や、キノコの持つ栄養素が、体の中に吸収されやすくなります。そしてさらに、食物繊維には体の中の余剰なゴミを体外に排泄してくれる効果もあります。だからキノコは体に良いということが言えると思いますね。

太田さん: 今までも本当にたくさん所長にもお話してていただきましたが、ずばりそういうことだったんですね。

所長: そうですね。そういうことをずっと教えていただいているんですよ。

太田さん: というのもですね、江口先生は浅野産業株式会社総合研究所の顧問も務められているんですよね。

所長: そうなんですよ。もう長年にわたってね、研究顧問をしていただいております。いつもありがとうございます。 先生には、以前ご紹介したシイタケの芽エキスを使ったドリンク「芽力」の開発にもご協力いただいています。

今日から活用できるキノコ豆知識

太田さん: 江口先生は、学生さんはもちろん、主婦の方たちにもトークショー等でお話をされる機会はあると思うのですが、何かキノコにまつわる豆知識みたいなものを教えていただくことはできますか?

江口先生: そうですね。やはりキノコというのは実学で、我々も研究するだけでなく、家庭でどういう風に使っていくかにも重きを置くべきだと思います。

江口先生: まず1つ目に、キノコを購入する際に、産地が近いものを使っていただいた方が、キノコの持っている効果効能・成分を、より効率よく私たちの体に取り入れることができるということです。
つまり、日本国内で作られたもの、あるいは、例えば岡山であるならば岡山県内で作られたようなキノコを、鮮度が高いうちに使っていただくということが重要ですね。

江口先生: そして2つ目に、キノコを安い時にたくさん買ってしまった時の保存方法です。
まず1つは、天日干しで乾燥させる方法。例えばシイタケの場合は、紫外線が当たることによって、ビタミンDが非常に増えます。このビタミンDを摂取すると、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。また、干すのではなくて、凍らせるということも、食品を保存する非常に重要なポイントになります。

江口先生: 凍らせる際には、「私はこういう料理を作りたい」という、料理のイメージを作り、その料理に入れるキノコの大きさに切って、ジップロック等で冷凍保存して下さい。
そして、料理の時には、そのまま鍋の中に入れて調理していただければ、調理時間も短く、そしてキノコの旨みも料理の中に引き立ちます。

太田さん: なるほど。一般的に、食べ物を置いたり、冷凍したりすると、栄養素が減ったり、腐ってしまったりするのではと思うのですが、キノコは逆にそれでも大丈夫なんですね。

江口先生: そうですね、キノコは保存できる食品であるということですね。

太田さん: そして、岡山で生まれたからには岡山で育ったキノコを食べるといい、というお話だったんですが、江口先生から見て浅野産業さんの作られたキノコというのはいかがですか?

江口先生: シイタケやキクラゲといった、いろいろな料理に合うそれぞれのキノコを作られている、また、少し幅の広いキノコ生産をされている、素晴らしい会社であると私は思います。
それから、キノコの種菌にこだわる。そして、その栽培技術にこだわる。さらに、消費者の皆さんの手に届くその時の状況を、いろいろ考えて生産あるいは研究をしている会社であるなと尊敬し、また信じています。

太田さん: なるほど。キノコ博士の江口先生から太鼓判を押していただきましたが、どうですか所長。

所長: ありがとうございます。もう光栄の一言に尽きますね。弊社も、現社長の浅野が30年ぐらい前からキノコの生産を初めまして、先ほど先生がおっしゃったように「地産地消」に重きを置いて、新鮮なものを、一番美味しい時に召し上がって頂きたいという思いで活動してまいりました。その通りだと思います。

キノコの食べ方について

太田さん: ここで1つ、個人的に気になるのですが、30年にわたってキノコの研究をされてきた江口先生が一番好きなキノコのお料理は何ですか?

江口先生: そうですね。私が、やっぱり一番好きなのは、キノコを鍋の中に入れて食べたりですとか、火でちょっと炙ってから、塩をパラパラッとふりかけたり、醤油をたらして食べたりですとかですね。 キノコの味をそのまま口の中に閉じ込めて、その香りと、そして旨みを味わうという食べ方が好きなんです。
その他に、私は食いしん坊ですから、色んな料理にして、キノコが入っていれば、それだけで非常に嬉しくなるということが言えますね。
■レシピの作り方>>こちら。

太田さん: なるほど。何かちょっとでもキノコが入っていると、嬉しくなる。先生にとってキノコはそんな逸品なんですね。また、キノコの研究を始めたきっかけは、お父様のご病気ということだったのですが、やはりキノコはガンにも効果があるということなんですか?

江口先生: キノコは日常的に食べていただくということが非常に重要です。現代の日本人は、平均して一人当たり、1日に約16、7gぐらいしかキノコを食べていないんですね。例えばこの量を50gに増やしていただくことができるのであれば、体内の免疫を高めることによって、もっともっと生活習慣病や、ガン等の病気の予防効果も高まるということを、私は信じています。

今後の展望と、未来を担う学生たち

太田さん: 江口先生は先日終了した、8時間も人が並んだというミラノ万博の日本館サポーターも務められていたということで、世界を股にかけて活躍されていますが、今後の抱負はありますか?

江口先生: そうですね。やはりキノコをもっともっと消費者の方に身近に感じていただき、それぞれの人たちの健康を高めるお手伝いをするということですね。
「こんな食べ方がいいですよ」「このような形で保存してください」といった、できるだけ皆さんがご家庭でも活用できるような情報を、これからも科学的に発信していきたいと考えています。

太田さん: 大学の方では、学生さんたちとは今どういうことをされていますか?

江口先生: そうですね。講義の中では「キノコ学」という日本全国でも珍しい科目があり、キノコの研究や、キノコの原材料として使われる培地の素材等の、キノコに関する様々な研究をメインに行っています。

太田さん: 学生さんたちは、大学で勉強した後は、どんなことをされているんですか?

江口先生: もちろんキノコの生産や開発をするような会社にも行ったりする子もいますが、中には技術的な指導をしたり、教員になったりする子もいて、非常に幅広い形で大学の研究室で学んだことを、それぞれ世の中で活用して頑張ってくれています。

太田さん: 若い方達が、キノコを通してグローバルに活躍していくということなんですね。そして、総合研究所の顧問はこれからも継続されるんですか?

所長: そうなんです。これからもずっとご指導をいただきたいな、と思っていて、先ほども控室でその話をさせていただきました。今後も先生に頼りながら、先程先生もおっしゃったように、健康に良い食品を、地産地消で皆さんにお届けしたいなと思っております。

太田さん: 今日は東京より、本当にお忙しい中ありがとうございました。皆さんもぜひ、毎日50gずつキノコを召し上がって頂きたいなと思います。