2015年07月13日放送
今回は、少しアカデミックな内容で、自社栽培シイタケの有効成分の研究成果についてお話します。
シイタケそのものには、悪玉コレステロールを下げる作用があることが分かっていましたが、健康食品の開発があまり進んでいない分野でした。そこで、シイタケから成分を抽出して実験動物で効果を確かめ、オリジナル健康食品の研究開発を行いました。
健康食品の詳しい研究結果についてお話する前に、突然ですが皆さんは「メタボリックシンドローム」についてどのぐらいご存知ですか？通称「メタボ」と呼ばれることが多く、言葉は聞いたことがあるという方は多いと思います。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の過剰蓄積（内蔵肥満）が共通の要因となり、「糖尿病」や「高コレステロール血症（高脂血症）」、「高血圧」などの生活習慣病を複数発症した状態のことです。この状態を放置しておくと、動脈硬化を引き起こして血液の流れが悪くなり、やがて脳卒中や心筋梗塞などの「心血管系疾患」が引き起こされる危険性が高くなってしまいます。 余談ですが、米国の統計学的研究から、これら４つのそれぞれが重複した場合は、命にかかわるような重い心血管系疾患を招くリスクが高まり、「弦楽四重奏」ならぬ「死の四重奏」と提唱されていました。
では、なぜ人はメタボになってしまうのでしょうか。その背景は、現在の私たちが祖先から受け継いできた「遺伝子」にあります。
人類は700万年の長い歴史の中で、毎日狩りに出て野山を駆け、常に飢餓の危険にさらされながら生き抜いてきました。その過程で脂肪をためて、丈夫な筋肉を作れるように進化してきたのですが、文化が発達するにつれ、人類は運動をやめ、食べ物にも不自由しなくなっていきました。この現代の急激な変化に、長い時間をかけて少しずつ変化してきた私たちの遺伝子は対応できず、メタボになりやすい体質になったのです。
自力で遺伝子を変化させるのは難しいですが、食べ過ぎや運動不足などの悪い生活習慣を見直すことで、メタボは予防・改善できると言われています。
しかし、中々運動する時間がとれなかったり、体力にあまり自信がないという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、冒頭にお話したシイタケの出番というわけです。自社栽培した生シイタケ、そして「シイタケの芽」から成分を抽出して、東京農業大学大学院の江口教授に協力をお願いし、研究を進めていきました。
普通の餌を食べるマウスと、ラードが入った高カロリーな餌を食べるマウス、そして様々なシイタケエキスを用意しました。高脂肪食を食べているマウスは、食べる量は普通食のマウスと変わりませんが、どんどん肥満になって、血液中のコレステロールも増えていきます。
ところが、この高脂肪食を食べているマウスに、シイタケエキスを１日１回の飲ませたところ、余分なコレステロールが腸で吸収されずにそのまま体の外に排泄され 、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪値も上がらなかったのです。
一番効果があったのが、何と「シイタケの芽」から抽出したエキスです。実験当初一番効果があるのでは、と注目していたシイタケの成分「エリタデニン」単体のみでは悪玉コレステロールを減少させる効果は得られないことがわかりました。
この成果は、今年の春に第65回日本木材学会大会で、江口教授から発表されていますし、シイタケの芽エキスの機能性については、次回の「きのこらむ」で特別コラムとして執筆して頂きますので、楽しみにして下さい。
■江口教授（東京農業大学大学院）のサイト
■浅野産業総合研究所
■シイタケ子実体抽出物の摂食による過食性脂質異常症改善～子実体成長過程における効果の差異～…下記PDFからご覧いただけます。
まとめますと、私たちと、実験動物とでは、体の構造や代謝など様々なところで違いがあります。データをそのままヒトに当てはめるわけには行きませんが、シイタケの芽エキスは、少なくともヒトの病気に類似した動物モデルでは、効果があったということです。
キノコ類は、低カロリーで食物繊維が豊富で様々な効果効能があると言われています。今回得られたデータも、シイタケの芽に備わっている未知の機能のひとつであって、私たちの体の中に貯まった余分なものを掃除する機能、体の内側からのダイエット効果とでも言えそうです。
現在、日本の中年男性の二分の一はメタボになる可能性が見込まれ、約2000万人がメタボリックシンドロームとメタボ予備軍に該当します。このラジオをお聞きのリスナーの方の中にも、ご主人やご両親の健康が気になる、という方はいらっしゃいませんか？
今回紹介した実験を基に開発された「芽力」は、悪玉コレステロールやメタボが気になる方に、おすすめしたいドリンクです。「きのこらむ」では、２５名の方にこの「芽力」６本セットをプレゼントします。詳しい応募方法は、下記URLからご確認ください。（応募は終了しました）
次回は、二十四節気の立秋を過ぎた頃になります。食欲の秋ということで、岡山の郷土料理の「ばらずし」とシイタケについてお話ししたいと思います。
